2017年4月4日火曜日

短編

大学の入学式を終えて、大教室でオリエンテーションを受けていた。ど田舎で18年間を過ごしてきた俺にとって、大阪にある大学のキャンパスは、まるで異世界のようだった。
 田んぼが延々と広がる大空間は見慣れているけれど、巨大な建築物が整然と並ぶキャンパスの風景は、外国の景色みたいだ。さらに、大学に行くのに乗り換えるターミナル駅のでかさといったら脅威ですらある。俺が育った田舎が、ここと同じ国であることが不思議なほどだ。
 大学帰りに、ターミナル駅周辺をうろつくことにした。巨大な建築物群よりも、尋常じゃない人の多さには、恐怖すら感じる。まるで機械じかけの人形が、縦横無尽に広場を歩く様は、いつか見た映画の近未来のようだった。
 突然、喉の渇きを感じて、コンコースの脇にある自動販売機にコインを流し込んだ。落ちてきたペットボトルの蓋を開けるのももどかしく、一気に黄色い透明な液体を喉に滑られせた。冷たい液体が、火照った身体を鎮めてくれたのか、一息を付くことが出来た。
 ペットボトルを一本分一気に開けたからじゃないだろうが、急に尿意をもよおし、人混みをかき分けてトイレを探した。かなり切羽詰まってきているのに、トイレが見当たらない。悪い夢を見ている心地で、地下道の角を何度も曲がった先にトイレのサインを見つけた。男子便所であることだけを確認して、朝顔の前に立って、ジッパーを下げる。竿を抓み出して、一気に放尿。涙がにじみそうな開放感を味わう。
 切羽詰まった状態でトイレに駆け込んだから、内部の様子を確認している余裕はなかったが、外れにあるトイレにしては人が多かった。男子トイレだから、もちろん回りにいるのは男ばかりだが、何故かそこの空気が障る。
 公衆便所だから、それなりにアンモニア臭がするのは仕方がないにしても、覚えのある何かが臭う。朝顔の数は5つ。その前に立つ男は俺を含めて3人。俺が大量の小便を迸らせている間、他の男たちは身動ぎもしない。はて?
 隣に立つ同い年くらいの男は、まっすぐ壁を見たまま朝顔の前に立っている。だが、放尿している風ではない。身震いをしつつ、竿の先に溜まった小便を切りながら、横目で男の下半身を眺めた。
 その瞬間、後頭部がズキリと傷んだ。まるで、何か堅い棒状のもので後頭部をぶん殴られたようなショックだ。男の股間がフル勃起していたのだった。
 意味が分からない。なぜ、こんな場所でオナニーなんか。だが、それは違った。男の手が小刻みに動き、扱いているのは確かなのだが、積極的なものではない。まるで、他人に見せつけるような。
 ふと気になって、反対側の男の方を振り返った瞬間、隣の男と目があった。ねっとりとした、だが真剣な眼差しが俺を見つめていた。そして、その男の股間も完全勃起していた。ああ。都会には、そういった場所があると、知識では知っていたが、まさか、こんなにも偶然に自分が迷い込むなんて。そして、不可抗力的に俺の下半身が反応を示す。まずい。そう思う暇もなく、俺の股間は完全に育ち、天を突いた。
 両方から同時に伸びてくる手に竿の根本を握りしめられ、抵抗する機会を失った。年上の男に、強引に個室に連れ込まれた。もちろん反対側の若い男も一緒に入ってくる。狭い個室に大人の男が3人入っている違和感を感じる間もなく、ジーンズと下着を一気に足元まで降ろされた。
 温かいものが俺を包み込むと同時に、熱い棒が尻の割れ目に擦り付けられた。恐怖と混乱で、酸素不足の金魚のように口をパクパクしていると、後ろの男にハンカチを突っ込まれた。
 興奮しきった男の吐く息が熱く首筋に掛かり、尻の割れ目に冷たい粘液が流し込まれれる。俺の前に、しゃがみこんだ若い男は、一心に俺を吸っている。
 犯られる!
 恐怖を感じたと同時に、熱い棒を捩じ込まれた。喉がひしゃげた悲鳴を漏らすが、男がそれを阻止するように、手の平で押さえこんできた。痛いってもんじゃなかったが、男はすぐに腰を振らず、俺が慣れるのを待った。
 恐怖と痛みで、涙が眦を伝う。だが、一方で、俺は興奮しているのだった。なぜかって?だって、こんなシーンを妄想しながら、何度もオナニーしていたからだ。まさか、本当にこんなことになるなんて思っても見なかったけれど。
 痛みが徐々に去り、男の形に穴が広がってゆく。それを見越した男が奥まで肉棒を突っ込んでくる。あぁ俺、今、犯されてる。それも、こんな汚い公衆便所で、2人の男に前後から挟まれて、処女を奪われてる。レイプされてる。夢にまでみたレイプ。
 男が俺の腰をガッチリとホールドして腰を振った。その動きに翻弄されながら、それでも若い男は俺を離そうとしない。
「すげぇ締まるぜ。すげぇいいマンコしてるじゃねぇか。おまえ」
 まるで、俺が妄想の中で、自分に吐いている嬲り文句そのままだった。
「綺麗なケツしてんな。たまんねぇよ。おまえ。男漁りしまくってんだろ?あ?この淫売」
 男は興奮しきった様子で囁く。
「感じるか?マンコ犯されて、感じてるのか?公衆便所で公衆便所にされて喜んでるんだろ?あ?」
 そんな。初めてなんだ。本当なんだ。
「ギンギンじゃねぇか。しゃぶられながら、チンポ突っ込まれて、フル勃起だよ。この変態」
 あぁもっと、もっと貶めて。もっと、俺を汚して。痛みとは違う、別の意味の涙が、頬を伝う。濡れていた。股間はギンギンで、マジでマンコが濡れていた。
「あぁすげぇ締まるぜ。お前のマンコ。最高に締まる」
 何度か腰を振った後、男は「うっ」と呻いて果てたようだった。男の尿道が何度も律動を繰り返すのが分かった。あぁ。いきなり生で種付けられちゃったよ。俺。最悪。
 だが、その背徳感が、俺の興奮を倍増させる。男が半勃ちの肉棒を俺の尻から抜き出すと、トイレットペーパーで拭って、無言で個室を出ていった。
 男が出るとすぐ、若い男は、俺を吐き出し、ドアの鍵を締めた。そして、両手を壁に付かせて、腰を突き出させる。尻の割れ目を割って、奥を眺めている若い男が呟く。
「すげぇ。マンコが泡立ってる。他の奴の種が溢れてるぜ。マジすげぇ」
 興奮しているようだった。ギンギンに育った肉棒で穴の周りを探られ、一気に突っ込まれた。初めてなのに、もう痛くないのが不思議だった。いや、それどころか興奮で脳内麻薬が出まくりなのか、感じてさえいた。初体験が公衆便所で、生で、種付けられて、輪姦されて、俺は興奮しているのだった。
 さっきの男より太く堅い肉棒が俺を抉る。内蔵を抉る。奥まで届いて、嗚咽を漏らした。男が腰を振る度に鳴いた。ひぃ。ひぃって喉で鳴いた。男の肉棒で突かれていると、さらに身体が開いていくのを感じた。肉棒の形に合わせて、俺の内臓が開いて、フィットしてゆく。
 これはマンコだ。肉棒を突っ込み、精を吐き出すためのマンコだ。そう思わされる瞬間だった。俺は処女を失った瞬間に淫乱女に堕ちていた。若い男は、先程の男とは比べ物にならないくらいタフで、すぐにイキそうになく、その後、延々と犯された。男の形に馴染むまで犯され続けた。
 個室の外では、ここで何が起こっているのか、たぶん分かっている筈だ。押し殺した人の気配が中の様子を気にかけて探っているのを感じた。もしかして、この若い男が終わっても、俺は輪姦され続けるのだろうか。
 恐怖を感じているのも事実だが、それは夢にみた、妄想し続けたことそのものだった。
 やっと、若い男が俺の中に果てて、身だしなみを整えて出ていった。開放された個室のドアが二度と閉められることはなかった。個室の外には数人が並んでいる。淫乱女に堕ちちまった穴に、肉棒を突っ込むために、先を争って男たちが並んでいる。
 マジで、俺、公衆便所だし。まだ一度も出していないギンギンのチンポの先から、少し濁った先走りが糸を引いた。

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