屋台で知り合った九州男児と熱い夜を過ごし、別れた後、いつもの皮ツナギを着込み、愛車に跨った。九州自動車から鳥栖で大分自動車道に進み、別府で降りる。埃っぽい国道沿いを走り続けていたので、汗と埃が染みついて身体が重いとまで感じる。
別府、湯布院は、大分県の山間に位置する湯治場だ。もっと鄙びた温泉の街をイメージしていたのに、まるで心斎橋のアメリカ村か何かのような賑わいぶりに面食らった。年寄りだけではない。若いカップルや女の子の団体、家族連れなど、色々な組み合わせの人々が通りを歩き、土産物屋の前に人集りを作る。大きな看板が出た駐車場にバイクを止め、公衆浴場を探した。
番台のおじさんに、珍しい生き物を見るような目で眺められて、苦笑い。この暑いのに皮のツナギを来て、公衆浴場に来る奴は珍しいに違いない。バスタオルや石けん、シャンプーなどを頼み、入湯料と一緒に料金を払う。昼前のこの時間帯は、人が少なかった。
汗を吸ってジットリと重くなったツナギを脱ぎ捨て、身軽になった。タオルと石けんを持ってガラス戸を開けた。黒く黴びた衝立の向こうに、大きな岩組の湯船が見える。お湯は少し紫がかった乳白色で強い臭いはなかった。一通り当たりを見回してみると、さすがに若い奴は少なく、それなりに鄙びた人が多い。
向こうの方に露天風呂があるようだった。そちらへと足を向けると、あまり大きくはないがやはり岩で組まれた湯船があった。先客がひとりだけ濁った湯船に浸かっている。いわゆる血の池地獄系統の温泉もあるようだ。露天風呂からの眺めは良く、谷間に流れる清流が見下ろせた。濃い緑をバックに湯気がたなびき幽玄でさえある。しゃらしゃらと清流の水の流れとひんやりとした緑の風が心地よい。
桶に湯を汲み頭から、何度もかぶる。汗と埃と共に、疲れも一緒に流されていく心地だ。
「ふぅ」
思わず吐息が漏れた。岩に腰掛け風景を楽しむ。湯船に浸かっていた男が俺の方を見上げた。視線を留めないように気を遣っているようだが、一瞬目が光り、俺の身体を値踏みしたのを敏感に感じ取った。肩から胸の厚い筋肉、締まった腹筋、太い二の腕、そして、股間にぶら下がった太々しい自慢のマラ。男はほんの一瞬だが俺を視姦した。
その瞳をまっすぐに見つめると、視線を逸らし、何食わぬ顔をしてみせた男だが、俺がまっすぐ見つめたままであることに気が付くと、俺の視線を正面から受けて見つめ返してきた。2人の男の視線が絡む。今度は遠慮のない男の視線が俺の身体を視姦する。
座ったままケツで躙り寄る感じで俺の横に付いた。男は指先を濁った湯船の中で動かし、俺の足の指先をなぞった。親指と人差し指の間の奥まで指を絡ませ愛撫した。俺の足を湯の中で持ち上げ、自分の太股の上に乗せると、丁寧にマッサージを始める。
それは、前戯に近い執拗なマッサージで、指の先が艶めかしく俺の足の肌に吸い付くようだった。男は愛撫を続けながら勝手に吐息を漏らす。
「なんか。。。すげぇ卑猥っすね。兄貴の足の指を触ってるだけで、興奮マックスっす。ジュンジュンに濡れちまう」
男はうっとりとした目で俺を見上げた。俺のマラは反応することもなく、平然と岩の上に腰掛け、景色を眺めるだけだ。男は完全に勃起した己のマラで俺の足の裏をつついた。少し力を込めて勃起したマラを踏みつけてやる。男は喘ぎ、悶え、吐息を漏らした。
「欲しいんだろ?しゃぶれよ」
「ここでっすか?まずくないすか?」
「俺の背中でおまえは見えないよ。誰か来たら知らせてやるから、素知らぬ振りで湯船に浸かってればいいだろう」
男は頷き、湯船の中で向きを変え、俺に相対した。男の両肩に太股を乗せ、男を湯船に座らせ顔を股間に埋めさせる。男は俺のマラを美味そうに頬張った。クチュクチュと口を動かして俺を吸い、舌で亀頭を舐め上げる。長時間、湯船に浸かったままの男の顔には汗が浮かび、上気して真っ赤になってくる。それでも男は俺のマラを口に含んだまま放そうとはしなかった。少しずつ力を増し始めた俺のマラをしっかりと捉え、粘膜を総動員して奉仕しようとする。どうして世の中には、こうもM気のある男が多いのだろうか。他人に虐げられ、精神的にも肉体的にも傷つけられて喜ぶのだから理解に苦しむというものだ。
俺が何をしてやるでもなく、男は俺のマラを銜えて、強引に奉仕させられて興奮している。公衆浴場の湯船の中でなければ、すぐにでも四つん這いになり、ケツを突き出して、突っ込んで欲しいと懇願するに違いない。
「美味いか?」
俺が尋ねると、男は上目遣いで俺を見上げ、小さく頷いた。完全に勃起したマラを喉の奥までくわえ込んでいるため返事はできない。男の手が忙しなく動き、湯の表にゆらゆらと波がたっている。湯にのぼせただけではないのだろう、男の鼻息は荒く、顔は真っ赤だった。時々、えづき、苦しそうな顔をするが、男は必死の形相で奉仕し続ける。
突然、露天風呂に表れた兄貴は、それはもう俺の理想とする外見を持っていた。短く刈り上げた髪、眉が濃く、しっかりと鼻筋が通り、薄い唇、切れ長の目が精悍な顔を形成しており、いなせな板さんて感じだ。その上、肩幅は広く、肩の筋肉、二の腕、胸の筋肉がボリューム感たっぷりに盛り上がっている。ボディビルなんかで鍛え上げたというよりは、現場作業で鋼の肉体を手に入れたように感じる。シャープでいて、弾力性があるのだ。腹筋は締まり、見事に割れていた。腰から太股の筋肉は厚く、すらりと伸びた脚が逞しかった。
一瞬の視線でそこまでをチェックすると素知らぬ風を装った。しかし、兄貴の鋭い眼差しが俺を捉え、凝視していた。真っ直ぐ俺を見つめている。凶暴な虎に真っ正面から見つめられたように、俺はすくみ上がってしまった。恐る恐る視線を返し、兄貴を見つめ返した。表情はそのままに、視線がふと笑った様な気がした。頬の筋肉も眉毛も唇も何一つ動いていないのだが、表情ではなく視線が柔らかくなったのだ。殺気が消えたとでも言えばよいだろうか。
俺は兄貴に、媚びを含んだ笑顔を返した。吸い寄せられるように兄貴の足下に座り、兄貴を見上げた。下から見上げる兄貴は、また格別に雄臭い。圧倒されるほど、雄の色香を放っている。俺は跪き、額ずき、兄貴に奉仕させてくれと、隷属の誓いを立てたくなる。想像しただけで、快感がケツの穴から背筋を伝って脳天に突き抜けた。
ズキン!とケツが疼く。濡れて、メスの顔になってしまう。俺は湯船に浸けられた兄貴の足の指に俺の指を絡めた。
卑猥だ。
何も知らない一般の人間が湯を浴び、疲れを落としているその場所で、俺は性的な行為をしている。兄貴の足の指に俺の手の指を絡める行為が、これほどまでに性的な興奮を呼ぶとは知らなかった。筋肉隆々の兄貴の横に跪き、誰に知られるでもなく絡める指は、正しく愛撫といって良かった。長時間、湯船に浸かっていた上に、これほど興奮するシチュエーションに遭遇して俺はのぼせそうになっていた。
でも、暴走は止まらたない。太股に兄貴の足を乗せ、マッサージする。別に特にどうというわけでもない行為なのだが、俺には十分なほど性的だ。俺のマラは完全に勃起し、ケツがズキズキと疼いた。媚びを含んだ瞳で兄貴を見上げた。
兄貴は、何気負うわけでもなく「しゃぶれ」と簡単に言ってのける。俺は魔法を掛けられた小動物よろしく兄貴に逆らえない。兄貴の柔らかい筋肉が両肩に乗せられた。湯船に浸かったまま奉仕するしかない。既に、頭はクラクラとして現実感が乏しくなっている。それでも、兄貴の巨大なマラを口に含み、母親の乳を吸うようにマラをしゃぶった。
ああ。卑猥だ。
兄貴のマラが俺の口の中でボリュームを増し、太く硬く育っていく。俺の口の中、一杯に成長し、喉の奥に達っする勢いだ。舌を絡め、喉の粘膜で奉仕し続ける。もどしそうになりながらも必死に奉仕する。俺は片方の指をケツに突き立て、片方の手でマラを扱き上げる。露天風呂の高い湯温が俺の思考力を破壊し、発情したメスへと変える。兄貴のマラを奥まで呑み込み、唇が兄貴の下腹部に付くまで頭を振った。広がり始めたケツの穴には3本の指が優に入る。ギンギンに勃起したマラは今にも吹き上げそうなほどガチガチに硬くなっているようだった。
次の瞬間、兄貴の亀頭が膨らみ、濃い雄の汁が喉に流し込まれた。ゴボゴボと鼻から逆流しそうになりながら俺は必死で呑み込んだ。と同時に、ケツの穴が収縮し、己のマラから子種が迸った。強烈な快感の次の瞬間、俺の記憶は暗転した。
次に目を覚ましたとき、俺は腰にタオルを掛けられただけの素っ裸で寝かされていた。心配そうに覗き込む番台のおじさんが目に入った。
「おぉ。良かった。気が付きましたか?救急車を呼ぼうかと思ってたんですよ」
俺の記憶は混乱していた。兄貴を求めて、きょろきょろしていると、つい先ほど、出て行ったとのこと。俺は番台のおじさんに礼を言うのももどかしく服を身につけ、ふらふらする足下をものともせず、兄貴を追いかけた。
「兄貴。。。口だけじゃ満足できないっすよ!」
振り向いた兄貴が驚いた顔で俺を見た。兄貴は何も言わず、ニヤリと笑い、俺がたどり着くのを待っていてくれた。