2018年1月12日金曜日

好奇心に負けて03

 その日に起こるだろう乱パの刺激的な状況を想像しながら、何度も何度も精を吹き上げる数日を過ごすうち、あっという間に前日となった。興奮のあまり、勉強も手に付かず、睡眠も充分に取れないままに、朝を迎える。
 準備を整え、意気揚々と家を出て、予定の1時間も前に、会場となるホテルに到着してしまう。チェックイン時刻前のホテルのロビーは人混みも疎らで、ソファにポツネンと座った自分があまりに場違いな人間に思えてしまう。特に誰かに観られている訳でもないのに落ち着かなくて、お尻の割れ目の上の方がムズムズと痒い。
 もうすぐチェックインという時刻に近づくと、大きなスーツケースを引きずって、観光客らしい団体や家族連れがロビーに集まってくる。もしかしたら、その中には、乱パの主催者がいるかもしれない。背の高い、ガッチリとした20代後半の男の人をつい目で追ってしまう。
 会場の準備ができる時間は、チェックイン時刻の15時から半時間後だ。ホテルに着いた旨をメールすると部屋番号を教えてくれる。1時間を切ったのだと考えただけで、心臓はバクバクと鼓動を繰り返し、頭のてっぺんまで血が登って、眩暈すらしそうだった。
 もう既に会場近くまで到着しているというのに、急に怖くなって、メールしたことを後悔しはじめる。好奇心とエロい想像で爆発しそうになってるくせに、今すぐ、この場所から逃げ出したてしまいたい気分に襲われて、己の小心さに嫌気がさす。
 朝から念入りに後ろの準備を済ませ、手荷物で股間を隠さないと勃起しているのが誰にでも知れてしまうくらい興奮しているのに、なんて意気地なしなんだ僕は。逃げ出してしまいたい焦燥感と爆発しそうなエロい好奇心が、僕の中でせめぎあい、葛藤する。両方の耳元で悪魔と天使が囁きつづけていた。
 そんなとき、握りしめた手の中で、スマホがメール着信の通知を示して震えた。画面を確認すると、乱パの主催者からのようだ。こちらからメールを送る前に、先に送ってくれたのだ。
「こんちは。準備が整ったよ。チェックインを済ませ、まだ、俺だけなんだけど、部屋に来る?もしかして、ロビーのソファに座ってる青いブルゾンの子かな?」
 あちらも俺のこと観察してたんだ。たぶん、あのお兄さんだ。顔バレしてる気恥ずかしさと逃げ出しそうになっていた自分を繋いでくれた安心感でホッと息をついた。
「こんにちは。そうです。今、ホテルのロビーにいます。もう上がっても大丈夫なんですか?」
「もちろん。おいでよ。部屋番号は○○◯◯」
 やっとのことで、なけなしの勇気を振り絞って、重い腰を上げて、エレベーターに向かって歩き出した。

2018年1月10日水曜日

好奇心に負けて02

「返信ありがとうございます。オナニーするときは、自分がタチで、ガッチリした年上に突っ込んでいるところを想像することもあるし、清潔な感じのサラリーマンに強引に犯されているところを想像したりもして、どちらも興奮します。実は、まだ、経験がないのでタチなのか、ウケなのかも分からないんです。初心者すぎて、いきなり乱パに参加するのは無理でしょうか?顔は写ってませんけど、身体のシャメを添付しておきます。無理なら諦めます。」
 正直なところ、自分がタチなのか、ウケなのかも分からない。突っ込みたいとも思うし、突っ込まれたいとも思う。もちろん、竿を扱いてオナニーするわけだけれど、シャワ浣の方法をネットで調べて、後ろを綺麗にしてからアナニーしたこともある。
 まだ、後ろの快感を得るところまではいかなにのだが、何かしら予感というか、疼きのようなものは感じたりする。そんなことを反芻しているうちに、返事が届いた。
「早速の返信&シャメありがとう。もちろん、初心者でも全然おっけーだよ。 タチり方は特に解説する必要はないだろうけど、ウケの準備はできる?シャメを見る限り、多分だけど、当日は、凄いモテると思うよ。プロフを見たときは、痩せてるのかと思ったけど、シャメみるとしっかり筋肉付いてるみたいだし、ケツもプリッと締まっていい感じ。当日は、一番若いから、ケツを狙われると思うよ。無理だったら、無理って言えば、無理強いしないから大丈夫。是非、参加してください。」
 もうドキドキが止まらない。デビューでいきなり乱パは、大胆すぎたかもしれない。でも、好奇心が暴走してしまっていて、もう後戻りできない気がする。メールを読みながら、股間はギンギンに勃起していて、下着が先走りでドロドロだった。
 乱パの日時を確認すると、次の土曜日の夕方から翌日の朝までなのだそう。血流がごうごうと轟きながら、頭の中を流れている。参加する旨をメールするのに、何度も入力をミスってしまったほどだ。
 当日が待ちきれず、毎日、猿のようにオナニーとアナニーを繰り返し、シミュレーションした。
 そのときは、童貞か処女を、もしかしたら両方を同時に失うという刺激的な好奇心が遥か彼方を突っ走っていて、酷い目に合うなんてことは想像しなかった。