少し引き気味だったが、先輩がそこまで変態だったことへの驚嘆が半分、小便とはいえ俺が出す排泄物を躊躇なく飲んでしまったことへの感動を味わった。健気で、愛しくて、俺は先輩をギュッと抱きしめた。
「先輩。。。好き」
「俺もお前が大好きだ」
普通の人の感覚では、とても大胆ことをした後だというのに、俺を「好きだ」と言葉にすることの方が照れるようだった。
もう一度、風呂に入った後で、ゆっくり時間を掛けて、とことん先輩を抱き、その後は、朝までぐっすり眠った。今回の小旅行で、何時間、先輩の中にいたことか。何度抱いても、何時間も俺のチンポで先輩を鳴かせても物足りない。もっと、もっともっと先輩を可愛がってやりたい。
実は、まだ眠っている先輩のケツに突っ込んで、起こしてやるつもりだったのだが、流石に昨夜は頑張りすぎたようで、予定時間に起きることが出来なかった。ベッドルームに差し込む朝の光と鳥の囀りに起こされたのは、既に朝食が始まる10分前で、慌てて先輩を起こし、仲居さんに貰っていた新しい浴衣をちゃんと着て、朝食が用意されている広間に急いだ。実際問題として、先輩は寝ぼけている状態で、和室のテーブル席に着席してもまだ、動作がヌルヌルしていた。お茶碗にご飯を、お椀に味噌汁を注いでもなお、状況がまるで飲み込めないような感じで食べ始める。この人、こんなに起動が遅かったかしらん。
「大丈夫?先輩」
「・・・・・眠い」
「え?昨日、遅いっていっても2時には寝たよね?」
「うーん。。。お前の寝顔が可愛すぎてさ、眺めて幸せに浸ってたから、あまり眠れなかった。。。それに、我慢できなくて、ずっとしゃぶってたし。。。」
「!!」
「あっ。。。」
そこから先は、周囲の恋人たちや家族連れの耳がダンボになってしまって、俺達の会話に意識が集まっていただろうことは、彼らのぎこちない動作を見て分かった。
「まぁいいけどね。実際、俺は先輩が好きだし、恋人同士だと思ってるし。世間がどう思ったとしてもね。俺たちには関係ないし。ただ、流石に、会社で高らかに宣言できるほど、根性が座ってる訳じゃないんだけど。。。」
「そうだな。俺もお前が大好きだ。おまえに抱かれているときが、今は一番幸せなときだ」
て、何のカミングアウト祭りなんだよ!と心のなかで突っ込みを入れる。だが、周囲の反応は意外なもので、顔を赤らめる女性は居たものの、概ね微笑みを伴う温かい空気が広間に広がっていた。
大胆なカミングアウト祭りの後は、静かに朝食をいただいた。しみじみと番茶を飲みながら、旅行に来て良かったねと先輩と微笑みあった。
帰り支度を整えて、チェックアウトを先輩が済ませている間、送りに出てくれた仲居さんが呟いた。
「素敵なカップルですね。とっても自然でらして、互いに信頼されているのが伝わってきます」
「ありがとうございます」
「腐女子的には、素敵なBLの関係って小説の中だけだと思ってましたが、違うんですね。私も幸せを分けて頂いたように感じました。お幸せにどうぞ」
腐女子やったんかーい!とりあえず、突っ込まずに微笑みだけを返しておいた。寝不足の先輩を助手席に座らせ、俺の運転で我が家に帰ることにする。バックミラーには、見送りに出た旅館のスタッフの笑顔が並んでいて、とても素敵な印象の宿だと思った。