野球のユニフォームがタイトなものになったのは、いつ頃からだろうか。私の記憶が間違っていなければ、プロも平成の中頃まで、ユニフォームはゆったりとしたものだった筈だ。今では、リトルの選手まで、生地が肉体に張り付いて、筋肉の付き方まで想像できるほどタイトなユニフォームが流行っているようだ。
私の趣味から言わせてもらえるなら、ぶかぶかのものより、ピチピチな方が良いに決まっている。先日の背番号34番の太腿とケツのパツパツ具合、二の腕の張り、硬そうな脹脛の筋肉の手触りまで想像できそうだった。
それも若い男の汗と体臭が染み込んでいて、日向と埃の匂いがするのだ。試合や練習で、たっぷり汗をかいた後に、あの男の蒸れた股間に鼻を突っ込んで、思いっきり深呼吸をしてみたいものだ。
先日、秘書に指示していたファイルが届いている。書斎のノートパソコンで詳細をじっくりと確認することにした。いくら会長であったとしても、通常は、社員の個人情報を自由に閲覧できる訳ではないのだが、長い間、私の秘書を務めていた男のすることだ。微に入り細に入って、おそらく、彼自身が知っている情報より、多くの調査結果が届いているに違いない。指示以降に、改めて調査を行ったことが伺える内容だった。とても興味深い男だ。私は、彼をとても気に入った。
彼を自由にするために、書斎に籠もって、悪巧みを組み上げてゆく。完璧な企画書を作り、これらの指示を問題なく遂行できるプロ人材を自宅に呼んだ。妻が健在な頃は、自制して、なるべく、こういった悪巧みを実行することを避けてきたが、今や遠慮はいらぬ。大きな企業の役員などをしていると想像を絶するコネクションが勝手に広がってゆく。表の顔は、コンプラ遵守の紳士な企業人であるが、清濁併せ呑む度量がなければ、生き馬の目を抜く競争社会は渡ってゆけないのだ。さて、そんなダークな話は事細かに解説することではない。こちらのオーダーを正しく理解し、抜かりなく、表沙汰になることなく遂行できるプロは存在するのだ。信頼関係を得た上で、金さへ払えば。
悪巧みを完璧に企画し、プロの手で実行される経過を観測してる時が、私を最もぞくそくさせる。さぁ。緞帳が上がる。