2018年11月9日金曜日

面接01 おかしな面接

一樹は、朝から落ち着かないでいた。株式会社ビッグバンの面接が今日の午後3時からあるからだったが、気になる項目が通知書の最後にあったから尚更だった。
 株式会社ビッグバンは、スポーツ用品などの製造・販売をしている会社で、今回の社員募集は営業販売員だった。新聞の社員募集広告を見て、一月前ほどに履歴書を送った結果、先日、一次の書類選考が通ったという知らせがあった。
 昨今の就職難に加えて、関西経済の冷え込みは特別で、たぶん予想を大きく上回る募集があったに違いない。今ではバブル時期のような条件の良い就職先はあり得ないのだし、少し条件の良いところに就職希望者が殺到するのは当たり前だろう。
 クリーニングしたての紺のスーツを下ろして、白のYシャツとストライプのネクタイといったいかにもリクルートスーツを準備した。20代半ばの年相応に見えるような格好がいい。散髪も昨日済ませ、朝から丹念に髭をあたった。
 一樹は現在、ワインの輸入販売を手がけている某商社に勤めているが、商社と言っても名ばかりで四菱商事や住日商事のような総合商社ではない。大学も一応出てはいるが一流とはほど遠い大学なので、コネを通じて再度、就職先を探すことは困難だった。
 今の仕事が辛い訳ではなく、仕事の量に比べてあまりにも給料が安いことが、新たな就職先を探そうと思い立った理由だった。当然、現在の会社には内緒で就職活動を始めたわけだ。大体において営業はノルマがきつかったり、ある程度の売り上げを上げないと手取りが非常に少ないことが多い。今の会社も基本給が極端に少なく、手当という形で営業成績が反映される。
 体格や運動能力には自信のある一樹であったが、口べたで人付き合いの得意でない性格が営業成績を最低たらしめていた。結果、給料は基本給+アルファ程度で生活していくには非常に辛く、学生時代からバイトで溜め込んでいた貯金を少しずつ食いつぶしているのが現状だった。
 それに比べて面接を受けることにしたビッグバンは、基本給も比較的高く、ノルマ制ではないことが気に入った。スポーツ用品というなじみ深い分野であることも一樹には嬉しかった。履歴書で唯一と言ってよいチャームポイントは、学生時代に獲得した全日本大学水泳選手権での自由形200mの優勝で、その他にも国体で入賞したこともあったし、オリンピックの強化選手候補になったことも秘めたる自負だった。
 面接時の携帯品の中にある筆記用具は簡単な試験でもあるからで、ジャージや運動靴、競パンは体力検査のようなものがあるのだろうと想像した。試験に対する自信はなかったが、一樹にとって体力検査、特に水泳は得意中の得意、一般の人間に負ける気はしなかった。必要な物をスポーツバッグに詰め込み、スーツを身につけて予定の時間よりかなり早くに家を出た。
 御堂筋沿いに住んでいる一樹は地下鉄一本で目的地の天王寺に着くことができる。すんなりと地下鉄に乗れた一樹は予定時間の1時間前である2時には着いていた。とりあえず近くの喫茶店に腰を落ち着け、冷コを頼んだ。夏本番とばかりに照りつける太陽は、地上に住む生物をことごとく焼き払おうと決心したかのように、容赦なく熱波を浴びせかけ、宙に浮く炎よろしく凶暴な怒りを爆発させていた。
 サマースーツとはいっても、アンダーシャツとYシャツに加えて、上着を着込んだ一樹には地獄の業火も斯くの如しと思われるほど耐え難いものだった。噴き出した汗は冷たいクーラーの風にも引くことはなく、氷水を勢い込んで流し込んだことで、さらに吹き出したようだった。汗でべっとりと張り付いたスラックスは、冷風に冷やされて塩さえ噴いていた。上着を脱ぐと、アンダーシャツとYシャツは半透明になって地肌にへばりついている。
 あまりの不快さに一樹は顔を顰めた。作業着やTシャツなどで汗をかいてもこれほど不快にはならないのに、不思議なことだ。ネクタイを外し、Yシャツのボタンも全開にしたいところだが、喫茶店でそんな見苦しい真似ができるわけもないし、面接前にだらけてしまっては受かるものも受からないと我慢した。良く冷やされた冷コを啜り、頭の中で面接のリハーサルを始める。

“ノックをして、相手の返事があってからドアを開ける。
 ドアは後ろ手ではなくて振り向いて締める。
 正面の面接官を見つめながら深々とお辞儀をする。
 進められてはじめて用意された椅子に座る。
 両手は膝の上で軽く握り、背筋を伸ばし、改めて面接官を見つめる。
 答えははきはきと。”

『どうして弊社を選んだのかと問われたら、どう答えるか。。。』
『以前の会社はどういった理由で辞めたのかと問われたら、どう答えるか。。。』
『座右の銘を聞かれたら、どう答えるか。。。』
『イラク問題や北朝鮮問題、青少年の非行など最近の社会的問題を問われたら。。。』

 整理しておくべきことはきりがない。ここしばらくの内で用意した印象の良い答えを思い浮かべながら、一樹は物思いに耽り続けた。壁に掛けられた時計を見てハッとした。既に15分前だ。一樹は慌てて勘定を済ませ、再び上着を着込んで灼熱の砂漠へと踏み出した。唸りを上げる室外機からの熱風や車の排気ガスや騒音が、そして都会の粘度の高い空気が一樹を包み込む。
 しかし、雑音の中に遠くで聞こえる蝉の声を聞いて、少し救われたような気分になった。株式会社ビッグバンのあるビル前に立ち、意外と真新しいことに驚いた。場所柄、古びたペンシルビルだろうと考えていたのだが、1階ホールの天井は高く、外装も内装も白御影石のビシャン仕上げで趣味が良い。2階以上は全てガラスのカーテンウォールで熱戦反射タイプの青いガラスが、意地悪い太陽の放射を跳ね返していた。
 黒いレースの日傘を差し、凛と背筋を伸ばして立つ貴婦人のように、周囲のビルとは隔絶して、そのビルは優雅にさえ見えた。玄関ドアを潜ると別世界のようにひんやりと空調が利き、静かな音楽が流れていた。ビルの趣味の良さはテナントの趣味の良さに通じるように感じて、一樹は少し安心しても良い気がした。
 気合いを入れ一樹は歩を進める。エレベーターを降りると、正面が受付になっていた。
ワンフロアー借りのようだ。受付の女性に来意を告げると、待合室に宛てられた部屋に案内された。既に20名以上の就職希望者が待機していた。誘導されるままに用意されたパイプ椅子に腰を下ろした。部屋の中は静まりかえり、ピンと張った空気が流れている。採用人数は若干名で皆が競争相手なのだから当然だ。
 その後、さらに20数名が加わり、3時時点で男ばかり50名程度が揃った。
「本日はお暑い中、お集まり頂き恐縮です。」
 奥のドアから入ってきた男が、部屋の中を見回しながら話し始めた。
「机に張っております番号の席に移動下さい。まず、簡単な一般教養試験をさせて頂きます。決して難しい内容ではありませんので、ご安心下さい。ただし、成績順に25名の方に次の試験を受けて頂きます。2次試験は、簡単な体力テストです。」
 就職希望者は微かに動揺を示す。いきなり半分に絞るのかと。
「では、試験用紙を表に向けて始めて下さい。制限時間は1時間です。」
 有無を言わせず試験に突入する。筆記用具を準備して、試験問題に取りかかった。意外と簡単な内容で一般教養というよりは一般常識レベルのもので、運が良いのか一樹にもすらすらと回答できるような内容だった。ということは、他の人間もそうであると考えるべきではあったが。
 試験終了後30分が経過して、2次試験を受験できる人間の受験番号が読み上げられた。
幸い一樹は1次試験にパスした。ギリギリの順位ではあった。しかし、合格には違いなく、2次試験を受ける資格がある。番号を呼ばれなかった受験者は、そそくさと部屋を後にした。
「それでは体力テストを行います。運動ができるような服装に着替えて下さい。なお、水泳も含まれますので、体操着の下は水着を着用下さい。」
 1次試験の会場が着替え室でもあった。この際、恥ずかしがっても仕方がないし、大勢の視線の中、水着に着替えることに慣れている一樹は、隠そうともせずさっさと一糸纏わぬ姿になり、着替えた。
 何かしら視線を感じたが、特に気にするでもなく着替え終わる。全員が着替えを終えると、案内された先は、ビルの最上階にテナントとして入っているフィットネスクラブだった。案内係によると経営が同じだということだった。
「それでは、体力テストの内容を発表します。まず、十分な柔軟運動をした後、マシンルームで体力測定を行います。それから、スタジオに移って頂いてエアロビクスダンスを30分間行います。最後はプールで自由形、平泳ぎ、背泳の3種目で、それぞれ100mづつ泳いでもらいます。なお、単なる体力テストではなく、競技中も面接試験官が見ておりますので、面接の一環だとお考え下さい。では、スタジオへどうぞ。」
 案内係が言う通り、面接試験官らしい男が数人、受験者を眺めていた。手にはバインダーと赤ペンが握られており、なにやら試験官同士で内緒話をしている。
「付け加えますが、最終面接に残る人数は10人です。柔軟を始めますので整列して下さい。」
 緊張した面持ちで男達は4列に並び、案内係の指示に従い柔軟体操を始めた。

面接00 プロローグ

                通 知 書

川端一樹 殿
                             平成15年6月25日

 拝啓 貴殿におかれましてはますますご清祥のことととお慶び申し上げます。
 さて、先日、ご送付頂きました申込書に従い、書類選考しましたところ、貴殿が一次選考を通過されましたことを通知申し上げます。
 つきましては、下記の日時で第二次選考の面接を行いますので、必要な用具をご持参の上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。敬具

                  記

   日  時:平成15年7月15日 午後3時~
   場  所:弊社天王寺支店 第一会議室
   住  所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目○-○第三天王寺駅前ビル5F
   必要な物:筆記用具、ジャージ等運動着、運動靴、水着(競泳パンツ)

以上

                            株式会社ビッグバン
                            人事部人事課

2018年9月22日土曜日

肉体の檻14

奴は頻繁に病室を訪れてくれる。そして、周りに人がいるときは諦めるしかないのだけれど、誰も居ないときは、いつも口で俺の性処理をしてくれた。
 ただ、じっとベッドで寝ているだけだから、妄想ばかりが膨らんで、エロいことをよく考えた。勃起した分身を持て余していると、決まって奴が現れて、口でしてくれるのだ。
 あの日、一緒にいた男とはあれきりだそうで、 これからは俺一筋なのだそうだ。本当かどうかを確かめることはできないけれど。奴のことを考えていると、また変な気分になってくる。最後に奴を抱いたのはいつだったろうか。あの艶めかしい尻に、極限まで膨らんだ俺の分身を突き入れ、ぶっ放したのは。
 そんなことを考えていると、また奴が現れた。
「へへ。また、来ちゃった。今日は。。。綺麗にしてきたんだ」
 それ以上、言葉を交わす必要はなかった。奴は、ズボンとパンツを下ろして、下半身素っ裸になると布団を剥いで、俺の上に乗っかってくる。既にギンギンの臨戦態勢な分身は、爆発してもおかしくないくらい膨張していた。亀頭と竿にローションを塗り、自分で穴に指を突っ込んで 少しだけ広げると腰を沈めてゆく。
 熱い粘膜が俺を締め付け、少しずつ飲みこんでゆく。この突っ込む瞬間が堪らなく好きだ。奴と一体になる喜びを感じるからだ。奴は眉間に皺を寄せ、口を半開きにして吐息を漏らした。
「これが欲しかった。欲しくて堪らなかった。あぁやっとひとつになれる」
 潤んだ瞳で奴は俺を見下ろす。そして、尻の肉が俺の下腹までくっつくまで腰を下ろし、グラインドした。俺の分身が奴の中で腸壁を食い破りそうだ。
 奴の顔が近づいてきて、唇を重ねる。舌が入ってきて、俺の舌先と触れ合った瞬間、甘い快感の波が背筋を駆け下りていった。両手で奴のケツタブを鷲掴みにし、腰を突き上げた。奴は必死に俺の舌を吸う。
『あぁ凄い。無茶苦茶気持ちいい』
 心の中で呟く。たぶん、奴も一緒の気持ちだろう。何回か腰を前後させるとマグマが出口を求めて暴れ始めた。久しぶりに奴を犯すのだから仕方がない。
「出そう。一発射っていいか?」
「うん。思いっきり出して」
 尻を抱え込み、夢中で腰を突き上げ、奴の中に発射した。何度も何度も。
 射った後も奴は、俺から降りようとはしない。実際、分身は硬さを失っておらず、ふてぶてしい姿のまま奴の中にある。
「そのまま、もう一発」
「うれしい」
 奴がまた唇を求めてくる。この分だと、あと2~3発は大丈夫な勢いだった。


「ねぇ。503の〇〇さん。まだ、昏睡状態なの?」
「ええ。そうみたい。脳波はしっかりしているから目が覚めてもおかしくないらしいのだけど。でも、頚椎を損傷しているから、首から下は全く動かないはずだって。。。若いのに。。。」
「でもさ。眠ってる表情がすごく幸せそうに感じるのは私だけかしら?」
「そうよね。私もそう感じてたの。。。寝たきりなら、このままの方が幸せなのかもね」

2018年8月18日土曜日

肉体の檻13

一通りの検査の後、ベッドに戻った。検査結果は良好で、念のため数日の間、様子をみて退院できるとのことだった。つくづく自分の愚かさに呆れるしかなかったが、暴走の結果がこの程度で済んで幸いだったと思う。
 奴はふたたび病院を訪ねてくれた。 検査結果を伝えると心底安心したようで少し目が潤んでいる。
「もしものことがあったら、どうしようかと思ったよ」
「ごめん」
「まぁ大したケガもないなんて奇跡以外の何物でもないよね。悪運強くね?」
「だね」
 何を言われても笑うしかない。風に吹かれて薄いカーテンがさわさわと揺れる。病院の中だというのに、変な気分になってしまった。ケガがないと分かった途端に催すのだから現金なものだ。それは、奴も同じだったみたい。病院のベッドという非日常な場所が変な刺激を産むみたいだ。
 薄い掛布団の隙間から奴の手が入ってくる。股間は既に臨戦態勢で、下着の前はテントを張っている。周りの物音を確かめて、誰も居なさそうだたので、奴の頭が潜り込んでくる。さすがに合体は無理だろうけど、しゃぶるくらいなら出来そうだ。
 熱い粘膜に包み込まれて、思わず吐息が漏れる。布団の真ん中がポッコリ膨らんで動いている。俺は手を伸ばして奴の乳首を弄ってやった。布団の中で奴が鳴く。
 腰を引き寄せ股間に手を伸ばす。そこはギンギンで先走りが滲んでいるようだった。変態なんだから。
 でも、いつ誰が来るかも分からない場所で、エッチをするのは興奮するものだ。なんとなく後ろめたいのも変な興奮を呼んだ。奴の頭の動きが激しくなり、我慢の限界が近づいてきた。俺は奴の口を下から突き上げ、溜まっていたものを吐き出した。奴は最後の一滴まで受け取り、口の中に吐き出した白いものを見せた後、喉を鳴らして飲み干した。
 濡れた唇がエロい。
 しばらく、話をした後、奴は、また来ると言いおいて帰っていった。
 次に来た時には、もっと激しいことをしてしまいそうだ。

2018年8月17日金曜日

肉体の檻12

耐えられないほどの頭痛で目を覚ますと、眼前は薄汚れたクリーム色の壁だった。気を失う前の記憶が少しずつ戻ってくる。
 奴が、俺とは別の男を連れて、楽しそうに会話を交わしながらマンションに入ろうとするのを見た。一瞬で只ならぬ関係であることが見て取れて、嫉妬と羞恥に沸騰した俺は自転車で暴走した。そして確認もせず交差点に突入した結果、車に跳ねられたわけだ。
 かなり強く頭を打ったのだろう。頭痛が半端ない。思ったほど全身の痛みは無かったが、首が少し痛んだ。心配そうな表情で俺を見下ろしている男性に気づく。
 奴がそこに居た。
「ああ。良かった。気付いたんだね」
 乗り出していた身を椅子に戻し、心底ホッとした様子で呟いた。
「居てくれたの?」
「そりゃそうだよ。自転車で脱兎のごとく走り去ったかと思ったら、いきなりドン、ガシャーン、ピーポーピーポーだもの。放って置く訳にいかないでしょ」
「そっか。。。ごめん。ショックでさ。青いなぁ。俺も」
「まぁ良かったよ。精密検査が必要らしいけど、普通にしゃべれるだけでホッとした」
 事故前後のことを奴と話しながら、勝手に嫉妬して、勝手に暴走して、勝手に事故に合って迷惑な奴だと我ながら反省する。
 しばらくして、看護師と医者がやってきて、瞳孔や口の中を簡単に確認し、全身を触診してから「精密検査の準備をします。少し待ってください。飲食は検査後まで待ってください」と言いおいて、部屋を出ていった。
 奴は、欲しいものを俺から聞き出し、準備するから一旦帰ると言って、やはり部屋を出ていった。病院の中は、思った以上に静かだった。身体が睡眠を要求しているようで、瞼が重くなってきた。俺は自然に呼ばれる形で、目を閉じると、重い睡魔に覆われてストンと落ちる。


2018年8月10日金曜日

肉体の檻11

奴を抱き、奴の中に何度子種を吐き出したか忘れた。それくらいいきり勃ったものを突っ込んで、腰を振り、鳴かせた。
 トレーニングセンターでマシーンを使いながら、同じように鍛えている男たちの股間やケツを見て半勃ちになるのが常態化しているくらいだ。女はまだ抱いた経験がないから、手っ取り早く姓処理できる男の身体に、欲情する回路が繋がっちまったみたいだ。
 全身の筋肉をとことん追い込み、たっぷり汗をかいた。シャワーを浴びてる最中も筋肉質なでかいケツを思い浮かべて勃起していた。筋肉を追い込むとどうも欲情するようだった。簡単に身体を拭き、トレーニングウェアを着て、スマホを取り出す。
 いつものようにLINEで連絡しようと思ったが、ちょっとした悪戯心が生まれた。連絡せずに奴のマンションで待ち伏せしてみようと考えたのだ。
 会社の帰りに、玄関で待っている俺を見つけて、最初は驚き、そして嬉しそうな表情に変わってゆくのを想像するとドキドキした。だいたい、これくらいの時間には戻ってくるはずだ。マンションの玄関口から少し影になるところに隠れて、驚かせてやろうと思う。
 夕暮れの薄闇の中、奴らしい人影を遠くに発見した。だが、その影はひとりではなかった。近づいて来るにつれ、片方が奴であることを確信するが、スーツの男が隣を歩いている。見るからに親密な雰囲気のふたりだった。奴は俺に見せるのと同じような、ちょっと甘えた表情で笑っている。直感的に、もうひとりの男と肉体関係にあることを悟る。
 血が逆流するのを感じた。俺は今、猛烈に嫉妬している。別に恋人同士である訳でもないのに、猛烈に嫉妬した。奴にとって、俺は単なる同性のセックスフレンドに過ぎないのだ。
 玄関までやってきた二人が俺に気づき、奴の顔から笑みが消える。とっさにマズイって表情をする。
 だが、俺には奴を問い詰める資格などないのだった。踵を返し、自転車に跨がり、振り返ることなく漕ぎ続けた。頭の中で、ふたりは激しく求め合い、貪るようにキスをし、チンポを突っ込まれて鳴いている奴の甘えた鳴き声が響く。
 もう何がなんだか分からないパニック状態で、自転車を漕ぎ続ける。そして、やばいと思う間もなく、死角から突然あらわれた車に弾き飛ばされた。上も下も分からず、俺は道路に叩きつけられ、ブラックアウトした。

2018年8月6日月曜日

肉体の檻10

「どうすんだよ!気持ち良すぎるじゃねぇか。ハマっちまった。ああもう」
 俺は腰をカクカクと振り、ヤツのケツをエグリながら耳元で呟いた。
「おまえのマンコ最高だよ。良すぎるよ。まじマンコかよ」
 柔らかに絡みついてくる腸壁に、激しく肉棒を擦り付けた。まさに欲情した獣よろしく、マウンティングスタイルで腰を振った。首を捻じ曲げてキスをねだってくる奴が可愛い。先程までの澄ましたスーツ姿は霧散し、メスのフェロモンを発散しつつ穴を曝け出し、尻をくねらせる。
「どうなんだ?俺のチンポ欲しかったんだろ?マンコ疼いてたんだろ?」
 本当に欲しかったのは俺の方なのだろうけれど、支配欲なのだろうか、それとも軽いS気が俺にはあるのだろうか。
 さっきまでスーツをピシッと着こなして、真面目な顔で仕事をしていたくせに、俺が送ったLINEを確認したら矢も盾もたまらず、飛んで帰ってきたのだ。尻を突き出して甘えた声で鳴きまくっている奴の姿を会社の人間は想像すらできないはずだ。
 誰にも見せない乱れた姿を俺だけに見せている訳で、なんだか、会うたびに愛しさが増してゆく。奴の感じる部分も分かり、どんな感じで腰を振ると喜ぶかも掴めてきた。もっと感じさせてやりたくて、もっと俺を欲しいと思ってもらいたくて、そこを執拗に攻める。
 そのうち奴は、どんどん余裕がなくなっていく。高まってくるものあるのだろう。ひと突き毎に、腹筋とケツの奥がビクビクと痙攣するように反応する。動画で見た、女がイき始めるときみたいに、昂ぶってくるようだ。
「ここか?いいのか?」
「あぁあぅ。。。ひぃあひぃああぁぁ」
 もう答える余裕もない。俺のチンポでこんなに感じるなんて嬉しくなる。わざと動きを止めて、じっと見つめる。
「いやだ。。。お願いだから。。。やめないで。。。よ」
 腰を動かさず、中でヒクヒクさせてやるだけで、奴は女のように鳴いた。
「お願いだから。。。もっとして。。。もっと欲しいよ」
 可愛いなぁ。焦らすのも限界だった。両脚を開いた上に抱き寄せ、いきなりトップスピードで突き上げた。奴は俺の首に両手を巻き付かせて、腰をくねらせる。
「いい。いいよ。。。いいよ。。。あああ」
 俺も我慢の限界で、溜まりに溜まった子種を奴の中に放出した。




2018年7月25日水曜日

肉体の檻09

これをハマったと言うのだろうか。
 あの日、男を抱いて、玉袋が空っぽになるまで、熱くて柔らかな肉に擦り付けて、何度も射精した。若い雄の玉袋は、空っぽになった次の日には満タンになっている。満タンになった子種は、早く外に出たいと暴れだし、肉の感触、射精時の快感、抱きしめた肉体の熱さと甘い喘ぎ声を思い出してムラムラする。
 肉棒に絡みつく、あの肉の感触が、唐突に蘇ってきて、講義中の机の下で痛いほど勃起した。眼の前に座っている男のでかい尻を見て、突っ込みたい衝動が溢れてきて、ガン見しないようにするのが辛かった。講義中にも関わらずLINEでメッセを送った。
「我慢できねぇ。突っ込みたい。やりたい、やりたい、やりたい、やりたい」
「あは。仕事中だって。。。19時には戻るよ?」
「やりたい。突っ込みたい。我慢できない。おまえを抱きたい。犯らせろ!!」
「分かったw じゃ19時に。場所覚えてる?」
「やった!!覚えてる。絶対19時に行く。全身チンポにしてお前を抱く!」
「w」

 見事にハマった。だが、どんなに勃起していても自分でする気分じゃなかった。あいつの気持ちいい穴に突っ込んで、鳴き声を挙げさせて、中で発射したかった。

 19時の約束だったけど、30分も前に着いてしまった。マンションの前の道路際で待った。10分ほどしたら見覚えのある男が、こちらに向かって歩いてきた。今日の彼は濃紺のスーツに身を包んだ普通のサラリーマだった。「ごめん。待った?」て微笑む彼を抱きしめてキスしたい衝動を必死に我慢する。玄関前の階段を登る彼に続いて歩く。前をゆく引き締まった尻が手の届く距離ある。そのまま覆いかぶさって、スラックスを引きちぎって突っ込みたい。まるで盛りのきた野獣の気分だった。
 エレベーターの籠に乗り、ドアが閉まるのを待てず、唇を奪った。彼も同じだったみたいで、互いの舌を吸い合う。尻の肉を鷲掴みにして、股間を擦り付けた。パンツの中が先走りでドロドロになっていた。
 エレベーターを降り、ドアを解錠し、玄関に入るのももどかしく、再び激しく口を吸う。スーツの上着を脱がし、Yシャツのボタンを外し、ベルトを抜いて、スラックスを引き抜く。小さなボクサーを突き上げている太い肉棒をしゃぶった。初めての経験だったが、今は無性に欲しかった。彼を口で慰めながら、靴を脱ぎ、ジーンズを脱ぎ、シャツを脱いで素っ裸になった。そのまま廊下に押し倒して、雄々しくそそり勃つ彼を味わった。
 もう我慢できなくて、欲しくて、突っ込みたくて、ひっくり返したところで拒否された。
「ダメだって。洗ってないから。ベッドで待ってて。すぐに準備するから」
 これが女なら有無を言わせず犯しているところだが、準備せずに突っ込んだらどうなるかは想像できたから、我慢するしかなかった。浴室に彼が消え、シャワーの音がし始めるのを恨めしげに眺め、脱ぎ散らかした衣服を集めて、ベッドに移動した。
 やんちゃな俺の息子は、無理!無理!無理!と駄々を捏ねたが、待つしかなかった。
 シャワーから出て、全身が濡れたままなのも構わず抱きしめた。壁に手を付いて、尻を突き出させ割れ目を広げて顔を埋めた。舌と指で穴を広げ、『もう大丈夫?』目で訪ねて、ねだる。
 ベッドに四つん這いにさせて、突っ込んだ。犯すように彼を奪う。野獣のように熱い鼻息を吐きながら腰を振った。

肉体の檻08

緊張していた彼の肉体から力が失われてゆく。きつかった彼の穴が適度に緩んで、中に入っていることに馴染む。ゆるゆると腰を動かしながら、冷静に彼の肉を楽しむ。
 このとき、射精したウケが、延々と突っ込まれ続けるのは、辛いこともあるという事実を知らない。だが、彼も俺も十分に若かったから、一度の射精だけで満足するほど淡白でもなかった。射精の余韻の中で、弛緩し、リラックスした状態で、ゆるゆると腰を動かすのは心地よかった。既に俺たちは、肉体的にも精神的にも一体になっていた。
「男の穴がこんなに気持ちいいなんて知らなかった。てか、俺、童貞だから、女のことも知らないけどさ」
 ゆっくりと腰を使い、彼の柔らかな肉を楽しみながら呟く。
「凄い良かったよ。久しぶりにトコロテンで射っちゃったよ」
「トコロテン?」
「うん。後ろから突かれて、擦らずに射精することを組合員は、そう言うんだ」
「なるほど。。。面白いね。組合員てゲイの人のこと?」
「そうそう。隠語てか、仲間内で通用する独特な言い回し」
「まだ、大丈夫?」
「硬いままだね。俺のはちょっと萎えちゃってるけど、後ろは大丈夫。タフだから」
「うん。。。でも、気持ち良くないなら無理にはしないよ」
「じゃ。言い直す。お願い。もっとして」
「可愛いな。おまえ」
「男でも平気?汚いとか思わないの?」
「何を今さら。てか、すげぇ良かった。俺って、そのへん拘らない人だから」
「そなんだ。こんな風にまったりするエッチもいいね」
 前に回した手で小さな胸の突起を弄ると甘えた声が漏れた。半開きの唇を割って舌を差し入れた。
「ん。。。んん。。。」
 互いの舌先を合わせていると漲ってくるのを感じた。リラックスした状態で腰を使う方が気持ちいいことに気づく。
 そうやって、俺達は時間を忘れて繋がったままでいた。

2018年7月24日火曜日

肉体の檻07

「いいよ」
 耳元で囁いた彼の声は、甘えを含んでエロかった。粘膜全体で俺を締め付け、さらに奥まで飲み込もうとする。先端の敏感な部分が、彼の中で擦れ、疼くような快感が根本にあふれる。恐る恐る腰を突き出して、彼の反応を伺った。
 眉間に寄った皺は、先程の痛みの印ではなくて、明らかに快感のそれだった。薄く開いた唇から熱い吐息が漏れて、「凄い。。。硬いよ」と囁いた。淫夢を見ている気分だ。全ての刺激が俺を快感の沼へと引きずり込んでゆく。彼の腹筋が小刻みにうねり、爛れた粘膜が 絡みついてくる。
 少し強く腰を突き出すと、「あぁ。。。いいよ。もっとして」甘い囁きが俺を絡め取る。厚い尻の肉を鷲掴みにして引き寄せ、同時に奥まで打ち込む。
「そこ。。。あぁ」
 男にもGスポットがあるのだろうか。彼がそこと呼ぶ場所を突くたびに、彼から余裕がなくなってゆく。全身から汗が吹き出し、息が上がり、 よりきつく俺を締め付ける。
 一度、抜いて、ベッドに場所を変えた。突き出した尻の肉が艶かしく、割れ目の奥の控えめな穴が少し開いている。ピンク色の綺麗な粘膜が濡れていて、意識せず、そこに顔を埋めた。舌を突き出して、濡れた粘膜をなめた。舌同士の接触以上に、柔らかで熱い粘膜の感触が興奮を呼ぶ。とめどなく溢れてくる先走りを指先に取り、塗り拡げる。そして、先端をあてがい、ゆっくりと挿入した。腰と腹と胸を密着させ、奥まで入る。
 腰だけを前後させ、彼の肉を楽しむ。初めてオナニーをしったとき以来だろうか。己の行為に没頭する。いきり勃ったものを彼の肉に突き立てるたびに、彼の唇から母音が漏れる。ここが、それほどいいものだと初めて知る。男の本能だろうか。征服して、もっと乱れさせてやりたいと思った。肉感的な尻を両手で鷲掴みにして、激しく腰を前後させた。ここか?声のトーンが変わる場所を探し、執拗に攻めた。彼の呼吸が引き気味になり、鳴き声が切羽詰まってくる。
「あぁあ。。。いぃあぅあぁ。。。いや。。。もっと。。。もっと。。。あぁあああ」
 正直、俺の方も限界が近づいている。玉の中にパンパンに詰まった子種が、出口を求めて暴れいる。根本をギュッと締めて我慢しているが、終局は近い。
「もっと。。。もっと突いて。。。お願い。。。ダメ。。。イク!イクイクイク」
 獣になった俺は、肉を突き破りそうな勢いで、狂ったように腰を振り続けた。彼の太ももが痙攣し、全身がガクガクと波打った。根本が千切れそうに締め付けられた瞬間、痛いほど出口を求めて圧を増していた子種が勢いよく溢れ出たのを感じた。俺は、彼の中に、何度も何度も射精した。
 射精後に少しだけ疲れを感じたが、もっと彼を抱きたいという欲望は収まらない。彼の中にある肉の棒は、硬いままで勢いを失っていない。アドレナリンが脳内に充満しているのか、もっと彼を組み敷き、腰を打ちつけ、悶えさせたかった。

2018年6月28日木曜日

肉体の檻06

そこは、今まで経験したことのない淫靡な場所だった。熱く脈を打つ粘膜が、敏感な指先を締め付けている。指腹に吸い付く粘膜は、痛いほど強くもなく、だからといって弛過ぎもせず、官能的で淫靡に心地よく締め付けてきて、俺の脳はパニック状態に陥っていた。
 だってそうだろ?人間の肉がこんなに嫋やかで、圧倒的にエロチシズムの権化のような触り心地だってこと、知る訳がないじゃないか。自分が指を突っ込んでいるその場所が、本来は別の用途に使われていることなんて、全くどうでも良かった。舌先と指先から連続的に送り込まれてくる欲情に、抗う術などある筈もなく、俺は狂ったように彼を求めた。
 もともとセックスに対するタブー意識がなかったことも手伝って、目の前にある肉体が、男のそれであることなど関係なかった。彼の尻の肉は、適度な弾力と柔らかさを持っていて、鷲掴みに握りしめて心地よかったし、何よりも彼の外側ではなく、内側の肉が俺を魅了し、もっと奥の方を知りたいと思わせた。
 ただただ、「突っ込みたい」、俺の脳が勝手に暴走状態に陥り、空回りし、渇望を埋めるただそのために、そこに有った。
 そのときの俺には、指でゆっくりと広げてやる気遣いなどなくて、亀頭をその粘膜にあてがい、彼の尻を強引に引き寄せた。反射的に身体を浮かそうとする彼を鷲掴みにし、無理やりこじ開けた。彼の顔が痛みで歪む。
「ちょっとだけ待って。。。」
 本能的に筋肉が強張り、異物を押し出そうとするのを精神力で我慢し、しゃがれた声で囁いた。
「ごめん。。。ごめんよ。。。」
 暴走状態だった脳が、彼の反応を反芻する余裕を得て、強張った全身の力を抜く。
「大丈夫。抜かなくていい。受け入れられるほど準備が整ってなくて」
 背中に回していた彼の腕の力が緩み、痛みを我慢しながら彼は微笑んだ。最初は拒んでおいて、気持ちいいと知った途端に、自分の欲望だけで暴走したことを恥じる。考えてみればそうだ。そこは入れるための場所ではないのだから、構造的にそうなっていないのだ。準備を整え、少しずつ解して初めて入れることのできる場所なのだった。
 自分の意思ではどうにもならない筋肉がほぐれ、痛みが遠のき、準備が整うのを待って、身体を沈め俺に体重を乗せる。俺のいきり勃ったものが彼に埋没してゆく。そこは、思った以上に熱く、柔らかく、繊細だった。粘膜を通じて、互いの血潮が混ざり合っていくように錯覚する。吐息とともに、彼の目の奥で静かな熱情が燃え始めるのを感じた。

2018年6月27日水曜日

肉体の檻05

声を掛けられた近くのマンションに案内された。一人暮らしの1DKの部屋は、小奇麗に片付けられていて、好感が持てた。若い男の部屋にしては、荷物が少ないように感じた。ベッドと小さなテーブルセットと本棚だけ。洋服は、半畳のクローゼットに収まる程度。シンクの脇に伏せたご飯茶碗と小鉢や皿が唯一の生活感を表している。キョロキョロと観察してしまった後で、不躾な行為だとひとり恥じ入る。
 勧められるままに先にシャワーを浴び、バスタオルを腰に巻いてベッドで待っていた。彼は今、シャワーを浴びているのだが、男が身体を洗うには時間が掛かっているようだ。
 街で見ず知らずの女をナンパして、ホテルにシケ込んだときの童貞男の気分だった。ふと、コンクリート階段で亀頭を包み込んだ肉の感触を思い出し、股間が痛いほど勃起した。初めての肉の接触が男の肉体であったことを嘆くよりも、「もっと気持ちよくしてあげるよ」と囁いた彼の声が、魔法使いの呪文のように俺を痺れさせていた。あれ以上に、もっと気持ちいいこと、それを想像するだけで、正直言って鼻血が出そうで、頭がクラクラする。ネットの動画で見てきた数々の卑猥な行為が脳内を占拠して、股間がもう我慢できないと痛みを発していた。
 風呂場の扉を開ける音に気づいたが、ジロジロ観察するのも気が引けて、無理やり、暴れる鼓動に耳を澄ませる。素っ裸のままの彼が俺の前に歩み寄り、跪いた。腰に巻いたバスタオルを外そうとしたので、腰を浮かせて協力する。彼の眼の前には、完全勃起、臨戦態勢の俺が息づいている。彼の股間のものも同様に勃起していて、腹に届きそうな勢いで反り返っているのを不思議な感覚で見下ろしていた。凸と凸でエッチするってことを今更ながら突きつけられた気分だった。
 彼の頭が俺の股間に覆いかぶさってきて、再びあの心地よい肉の感触が俺を包み込む。一心不乱に俺を慰める彼が、とても可愛く、同時に切なくもあった。確かに声を掛けてきたのは彼の方だけれど、一方的に俺だけが気持ちよくなるのは、後ろめたい気がしたのだ。
 両手で優しく頭を挟み込んで、ゆっくりと股間から引き剥がした。不信そうな表情の彼を引き上げて、唇を重ねた。初めてのことだから、ハッキリ言ってどうして良いか分からなかったけれど、唇を少し開いて、舌を差し込んだ。熱い彼の舌先が触れたとき、あまりの甘美さに背筋が痺れた。彼が俺を吸う。膝立ちの彼の尻を持ち上げて、膝の上に座らせて、さらに引き寄せた。尻の割れ目に先端が当たると、彼の眉間が皺を刻み、喉が鳴った。
 滲み出した先走りを指先に掬い取り、そこを探した。彼の反応を見ていれば、指先がまさぐり当てた場所が正解であることが分かる。指先の粘液を塗り拡げながら力を入れる。少し抵抗した後、その粘膜は俺を迎え入れる。締め付ける粘膜の熱さが指先からダイレクトに伝わってきて、俺の脳を揺すぶった。

2018年6月6日水曜日

肉体の檻04

人とつるむことが苦手な俺は、少々コミ障なところがあるのだろう。人嫌いとまではいかないのだけれど、男女を問わず暑苦しい関係性が苦手なのは事実だった。
 だから、正直な話、まだ経験がない。精神的な関係性を築けないのだから、肉体的な接触に至るわけがないのだ。性欲が湧かない訳じゃないから、もっぱら性処理は、手で慰めるしかなかった。今どきは、少しネットで検索すれば、エロ画像やエロ動画など、いくらでも落ちているから、ネタに困ることもないし。
 だが、生身の人間の肉の柔らかさや熱さは、衝撃といっても良かった。
『え?マジ?他人にして貰うって、こんなに気持ちいいものなの?』
 興奮で膨張しきった亀頭を包み込む男の粘膜が、あまりに気持ちよかったので、階段の袖壁に身体を預けなければ、立っていることも儘ならない。口の中の柔らかで熱い粘膜と自在に動く舌が、亀頭を締め付け、エラの裏の敏感な部分を責め立てる。遠い喧騒を押しのけて、男の口元が発するピチャピチャ、クニュクニュ音が俺を圧倒した。
 俺を含む男の口元は、この上なくエロい。いかにも大好物を口で慰めているといった恍惚とした表情が輪をかけてエロかった。経験がないから誰かのそれと比較できなかったが、自分で申告するだけに値するテクニックだと感じた。
 数日間、オナニーをしていなかったから、玉袋に極限まで溜まった精子が、出口を求めて突き上がるのを感じた。甘い吐息が勝手に漏れて、尻の筋肉が硬く引き締まり、太ももが小刻みに痙攣しはじめる。
 もう少しフェラチオを続けられたら盛大に拭き上げそうだった。他人の口の中に精を吐き出すことに抵抗を感じ、男の肩を少し押した。俺の限界が近いことを知った男は、一生懸命しゃぶっていた俺を吐き出した。もう限界が近かった竿を擦り上げようと握りしめたが、男がそれを邪魔した。
「もう。。。限界なんだ。。。」
 思わず懇願する声になる。だが、男は俺の手首を強く握りしめて、自ら刺激を与えさせまいとする。
「もうちょっとだから。。。」
 古びたビルのコンクリート階段で、2人の男がもみ合う形になる。片方は、ジーンズを足首まで下ろし、下半身をむき出した間抜けな格好だ。その股間は、腹にくっつきそうな勢いで反り返り、天を突いてヒクヒクと震えていた。
 男と揉み合う内に、今にも発射しそうだった勢いが少し削がれた。
「あぁ。。。」
 俗に言う寸止め、生殺しに合って、情けない吐息が漏れた。
「もっと気持ちよくしてあげるよ。俺の家にこない?」
 俺のエロ度はリミッターを超えていた。先程までの躊躇は、完全に霧散していた。男の手玉に落ちたのが、少々腹立たしくもあったのだが、毒を食らわば皿までだ。

2018年6月1日金曜日

肉体の檻03

「じゃぁさ。とりあえず試してみない?どっか人いないとこでいいからさ。しゃぶらしてよ。超気持ちいいから。絶対」
 思わず男の口元を見つめてしまった自分が嫌になる。最初に言ったように、俺にはタブー意識が低い。だから、女じゃないとHできないとは思わない。けれど、いきなり突っ込まれたら溜まったものじゃないし、全く知りもしない男と寝ようとは考えない。セックスに対するタブー意識が低いことと、常識がないことは違うと思うんだ。
 ただ、ここまで自信を持って言うからには、本当に気持ちいいのかな?なんて考えてしまった。やはり、そこは性欲を持て余している若い男のひとりなのだった。
 「ね。いいでしょ?減るもんじゃなし。気持ちよくなかったら止めればいいんだもん。たぶん、俺より力強いだろうし、無理やられちゃうほどひ弱じゃないっしょ?ね。行こ。さぁ」
 その辺は図々しいというか、屈託がないというか、微妙に揺らいだ気持ちを的確に突いてくる。ていうか、初めて会った男に、いきなり「Hしよう」と誘われて、話を聞いてしまっている時点で、俺って既にアウトなのだ。
 男は、細い路地に折れて、とあるビルの階段を登ってゆく。雑然とした町中の普通のビルなのだが、どこからも見通すことができない微妙な空間だった。コンクリートの冷たい肌触りと遠くに聞こえる雑踏の余韻が、戸惑う自分を慰めながらも、淫靡な気分にさせる雰囲気を持っていた。恐る恐る男に付いて登りながら、心臓がどくどくと早鐘をうち、経験したことのない興奮が俺を満たしている。
 前をゆく男が、階段の途中で急に立ち止まったので、つんのめりそうになって思わず男を抱きしめる形になった。計算された行動なのか、男の手の平が柔らかく、ジーンズの前を包み込む。微妙なタッチで玉の辺りを刺激されて、背筋の産毛がぞろりと逆だった。反射的に押しのける暇もなく、指先が俺の中心を這う快感に逆らえなくなった。
「思ったとおり敏感なんだ」
 ジーンズの前は急激にその容積を増していた。みるみる血流が海綿体を満たし、硬化を始める。厚い生地に圧迫された状態で、誰が見ても勃起していることが分かるほどに充実していた。男の指がはち切れそうに膨らんだジーンズのホックを外してゆく。
「へぇ。ジーンズの下はノーパンか。エロ」
 普段はボクサーパンツを履いているのだけれど、トレーニングで汗を掻きすぎて気持ち悪かったからノーパンだったのだ。
「でかいね。それに綺麗な形。ピンク色の艶やかなエラが張ったいいチンポ。太い血管が竿を這い廻っててエロすぎ」
 あまりに恥ずかしい論評に俺は気絶しそうなった。男はその場にしゃがみこんで、柔らかな肉で俺を包み込んだ。

肉体の檻02

「え?」
 流石に耳を疑うしかなかった。これまで何度も唐突なスカウトに合った経験はあるけれど、いきなり男にエッチしたいと告白されたことはない。
「やっぱ、ダメかな?」
 いやいやいや。やっぱ、ダメかなってそんな残念そうな顔されても。普通、うんいいよと返事する奴の方が可怪しくないか?と問いたい。ただ、なぜそのような唐突な発言ができるのか聞いてみたく、逆に興味を持ってしまった。
「いきなり、なんなんですか?」
「だよね。やっぱ。男は嫌い?」
 いや。そこじゃない。まぁそこも普通はあるけど、たぶん、そこじゃない。なんかズレてるなこのひと。
「でもさ。凄い綺麗な身体してるじゃん?君。俺もさ鍛えるのは好きだから分かるけど、ここまで完璧に綺麗な肉体の人ってなかなかいないんだよね。惚れたっていうか。後ろからみた君の尻の形なんて完璧だもん。ずっと見ながら歩いてるだけで幸せな気分になるってかさ。で、つい声かけちゃった」
 思わず身体を捻ってジーンズの尻を確認してしまう。
「大きすぎず、小ぶりすぎず、硬く盛り上がった美しいまでの双丘。ぴっちりと張り付いたジーンズの生地がエロくて、俺もジーンズになりたいと思わせる尻だ。完璧と言っていい。さらに、僧帽筋、大胸筋、腹筋、上腕三頭筋。。。エロさが際立つギリギリの体脂肪率といい、ボリューム感たっぷりの股間の盛り上がりといい、まさしく天恵」
 涎を垂らしそうな勢いで言葉を継いでいる。普通なら引いてしまうところだろうが、あまりの直截な物言いに興味を持ってしまった。
「そんなにハッキリと褒められたことないので、唐突だけど、嬉しいです」
「自分で意識ないの?だって、その気のある人間には拷問というか、垂涎の的というか。ストレートな男に例えると、まるで、半裸状態の叶姉妹が、目の前を歩いているような状況なんだもの。普通の男なら目で追いかけつつ、涎を垂らしそうな間抜けな表情さらしちゃうでしょ?やっぱ」
 ふむ。それは、例えだとしても、さすがに褒め過ぎだと思うけれどね。
「納得してない顔だなぁ。例えばだけど、その手の集会に君を放り込んだら、十分とせず、身ぐるみ剥がされて、2~30人に、強姦されること請け合いだって」
 いや。そんな表現されて普通の男は喜ばない。引く。間違いなく引く。不思議な人だなぁ。それでも、なぜか嫌悪感が湧かない。
「その前にさ。俺に味見させてよ。もう、涎と先走り垂れ流してドロドロになるくらい感じさせてあげるから。俺上手いんだよ?」
 いやいや。だから、俺を輪姦すのデフォルトにしないで。。。

2018年5月29日火曜日

肉体の檻01


 子供の頃から、ひとり自然の中を遊び場にして過ごすことが多かった。友達がいないわけじゃなかったけれど、ルールに縛られて、集団で行動しなければならない野球やサッカーなどの球技が苦手な変な子供だった。
 大学生になった今でも、男女を問わずつるむのが苦手で、体育会やサークルなどに所属していない。ただ、身体を動かすのは好きだから、肉体を追い込んで、鍛えることを欠かさずに続けている。
 大学には、トレーニングセンターがあって、立派なトレーニングマシンが揃っているし、有り難いことにフリーで開放されているから、講義が終わってから時間を持て余すこともない。トレーニングカリキュラムを独学で練り上げ、ひとり、黙々とトレーニングをするのだ。
 俺にとっては、ストイックに肉体を追い込むことが、ある意味快感なのだ。自分自身を虐めることが快感だなんて、変態なのだろうか?、ドMなのだろうか?と疑ってみない訳ではないのだけれど、俺自身の気質なのだから仕方がないと遠い昔に諦めることにした。
 その結果として、ボディビルダー部の選手にスカウトされるくらいの肉体を手に入れたのだが、その誘いに乗ることもない。つるむのが苦手だってのも勿論あるけれど、それ以上に、多くの人の前でポーズを取って自分の肉体を自慢する行為に羞恥を感じるからだ。
 誰かに褒めて欲しくて肉体を追い込んでいるわけではなかったし、ましてや大会に出場して人と競うなんてまっぴらだった。

 休日のある日、大学近くの繁華街を歩いている時のこと、とある男性に声を掛けられた。
「すみません。ちょっといいですか?」
 20代前半くらいの男は、爽やかな笑みを浮かべ、透明な眼差しを俺にまっすぐ向けて、静かに話しかけてきた。
 実は、町中で男に声を掛けられたのは初めてではない。自衛隊の勧誘だったり、胡散臭い芸能関係のスカウトだったり、はたまたゲイビデオの勧誘だったり、はっきり言って大概はろくなことがない。
 顔にゲイですと書いて歩いているのだろうかと悩んでしまうくらい、その手の勧誘は多い。これでも、若い健康な男なのだから、セックス自体に興味はあるし、気持ちいいことも嫌いじゃない。事実、セックスに対するタブー心理は少なくて、気持ちよければ、別に男性でも平気な部類の人間ではあるけれど、敢えて男と寝たいとは思わない。
 ただ、声を掛けてきた男があまりにも綺麗な佇まいだったので、興味を持ったのは事実だ。身長は俺と同じくらいだから180cmくらいで、今どきの若者の例に漏れず顔が小さい。手足が長い一方、肩幅が広く、ポロシャツの袖から覗く二の腕と盛り上がった胸筋が、充分に鍛えられていることを物語っている。特筆するほどの美形ではないけれど、バランスが取れていて、何よりも愛嬌のある表情から、人の良さが伺えた。


「俺さ、ゲイなんだけど、君とエッチしたい。ダメかな?」

 純粋無垢とも呼べる脳天気な笑顔を浮かべて、男は唐突に、無体なことを言った。

2018年5月16日水曜日

夜這い屋04


心とは裏腹に徐々に下腹部が反応を始める。いい感じだ。マンコはトロトロで粘膜が絡みついてくる。素質がある奴は、最初から感じてしまうものだ。現にこいつは反応を始めている。言いようのない何かがマンコの奥に居座って、ジリジリと広がって、侵されてゆく。
最初は良く分からない小さな芽吹きだが、段々とそれは存在感を持って、熱く花開く。呼吸が上がり始めた。何か良く分からないものから、明らかに快感へと昇華し始めているのだ。こんなエロいケツマンコだったら、さぞや売れることだろう。今は狂犬に咬まれたぐらいにしか思っていないだろうが、時間が経つと、意に沿わずケツが疼くのだ。また、あの時のように犯されたい。陵辱されたいと。
乳首は完全に勃起した。タチでも乳首が性感帯の奴は多い。そして、その性感帯はマンコのスイッチでもあったりする。乳首が感じれば、マンコの快感に直結しやすい訳だ。ペニスも完全に勃起した。ねっとりと、焦らすように、オイルで濡れた手の平を使って捏ね繰り回す。腰が反応し始めた。我知らず、快感を求めて、腰が動いている。より気持ちのよいポイントを調整して、腰がくねる。いいマンコだ。落ちたな。

俺はあえて、マラを抜いた。そんな殺生な。生殺しは勘弁してくれ。そんな心の声が聞こえてきそうだった。退散する準備をした。メールで依頼者に報告する。
ケツを無理やり犯してやるだけでなく、落としてやったぞ。立派なマンコ野郎の出来上がりだ。おまえが、朝までハメまくってもいいし、タチを読んで輪姦してもいい。後は好きにしてくれ。部屋の鍵は開けておく。手足の拘束もそのままだ。
まだ、犯り足らないと天を突くマラに、仕事が終わったことを言い聞かせ俺は退散した。念のために隠しカメラを仕込む。さて、依頼者はどうするだろうか?

夜這い屋03


相手の目を覗き込みながらケツを犯す。痛みに耐えながら、陵辱されることを受け入れた力のない目で見つめ返してくる。初めて自分を犯した男の全てを見つめておこうとするかのように。なかなかの玉だ。気に入った。だとしたら、丁寧に犯してやろう。お前を落としてやる。男の感じる部分に先端を宛がい、ゆるゆると突き上げる。
今はまだ痛みだけで何も感じないだろう。だが、その痛みが遠のき始め、意識が緩み始めたとき。そうだ。もっと弛緩しろ。俺を受け入れろ。お前は食い殺される草食動物なのだ。俺に身を委ねろ。安心しろ。食いはしない。内臓を食い荒らすだけだ。それも丁寧にな。

男の眉間の皺が少し緩んだ。痛みを伴わず犯られる術を少しずつ身に着けていくんだ。それが、心と体の安定を保つためだ。これは、事故だ。これは、ただの事故だ。明日になれば忘れてしまう。そう念じていろ。そして、俺を受け入れろ。
縮こまっていたペニスが少しずつ緩み始めている。感じてはいないが、緊張が少し解けてきたようだ。所詮、おまえがいつもやっていることなのだ。無理に犯したこともあるだろう。嫌がる、または痛がる相手を自分の欲望と都合だけで、犯したこともあるだろう。だからこその罰なのだ。それが、今、ブーメランのように自分に返ってきただけのことだ。さぁこれから夜の営みを始めようぜ。朝までは、まだたっぷり時間がある。

強姦して、羞恥と罰を与えることから、落とすことに作戦変更した。となると、落とすためには快感を与えなければならない。つまり、ケツを犯されながらペニスを完全勃起させれば調教は半分完了したようなものだ。もう一度、ひっくり返しケツを高く持ち上げさせ、引き寄せた。存在感のある弾力のあるケツは掘り甲斐がある。処女ケツだから、もちろん締まりも良い。そして、ここが肝心なところなのだが、処女にも関わらずねっとりと絡んでなかなかの名器といえた。こいつは良いマンコ野郎になることだろう。奥まで突っ込み腰をグラインドさせる。
どうだ?逆に突っこまれる感覚は?
耳元で囁く。もちろん無言だ。気持ちよいと啼く訳もないだろう。別にそんなことを期待していない。前立腺を集中的に責めた。そして、片手で乳首を優しく愛撫し、もう一方で玉と竿を擦る。全ての快感を同時に、粘り強く、優しく、刺激的に、緩急をつけて。
マンコが疼いてこないか?奥から何かが溢れてくるだろ?痛みの後に、よく理解できない重い疼きを感じるだろ?少しずつ、それは膨らんでくる。小さな塊が少しずつ大きくなってくる。その塊はおまえのマンコ一杯に広がっていく。とろとろと、粘膜が溶け始め、熱く熱く熱く。
乳首とペニスとマンコの同時責め、そして隠微な言葉が男の頑ななガードを解かす。ペニスが少し膨らんだようだ。前立腺への攻めは執拗にねばり強く。男の焦りが手に取るように分かった。心とは裏腹に身体が徐々に反応を始める。ほら。もっと開くんだ。解放しろ。マンコ野郎に落ちちまえ。