残りの単位を残さず習得し、無事に卒業できた。入社式を終えると新入社員は、会社が用意してくれた寮でしばらく生活する。1ヶ月半の研修で、社会人としての基礎的なことから、会社組織のことや仕事の内容について学んでゆく。そんなこんなで、1ヶ月半の研修期間も終わった日に辞令を手渡された。要望が通ったみたいで、「東京技術所勤務を命ず」だったので安心した。
翌月の朔に技術所に出勤し、各部署で紹介、挨拶をすませた後、配属された部署に赴く。同じ部署に配属された3名の新入社員を迎えてくれたのは、世話係の先輩社員だった。
俺は、その先輩社員から目が離せない。まさか、そんな馬鹿な。硬直した俺を怪訝な目で伺っていた先輩社員がハッと顔色を変える。先輩社員も俺に気がついたようだった。そう。あのブランコでM字開脚して、複数の男達に輪姦されて喜んでいた変態男が、顔面蒼白状態で立っていた。
2人は、ぎこちなく挨拶を交わし、居心地の悪い気分で1日を過ごした。夕刻になり、先輩が新入社員3名に呑みに行こうと誘ってきた。さすがに、初日からお誘いを断れるほど俺たちは空気読めない君ではない。俺は他の2名より思うところがあったけれど、呑みに行くことにした。
会社からさほど離れていない居酒屋に案内され、酒を飲み、肴を食った。久しぶりのアルコールだったから、あまり強くない俺は、程よく酔っ払った。居酒屋の前で別れ、若干、千鳥足で駅に向かう。
「参ったなぁ。毎日、先輩と顔合わせるんだよなぁ。どんな顔で先輩に接したらいいんだろ」
正直、困ったのは事実だ。だが、あのときの先輩の姿を改めて思い出して、半勃起したのも事実だった。
「もう一軒いいか?」
突然、後ろから声を掛けられて慌てる。
「あっ。先輩」
「はい」
とりあえず、先輩と話を合わせておいた方がいいだろうと思ったので、素直に受けた。2軒めは、先輩の行きつけの店で、奥の個室に案内された。