2022年9月9日金曜日

雨のち曇り時々晴れ02

 ノンケに惚れるほど面倒なことはない。逆立ちしても恋が成就する可能性はない。普通、気持ち悪がられ、しつこく食い下がれば、警察沙汰になり得る。ツキがなかったと諦めるしかないのだ。

 そんなある日のことだった。スーパーで夕食の買い物をしてレジに並んでいたら、件の彼が俺のすぐ後ろの列に並んだのだ。向こうは気づいてる風でなかったが、仕事帰りらしいスーツ姿でスマホを弄りながら列を待っている。それとなく、カゴの中身を確認すると彼も独り暮らしであるらしいことが分かる。

 カゴには、缶ビール2本、缶酎ハイ1本、唐揚げ弁当、野菜サラダパックが入っていて、食材を買い込んでいる俺とは違い、自炊しない派らしい。

 まだ、彼のことを諦めきれなかったので、レジを済ませてから、商品をゆっくり袋に詰めながら時間を稼ぐ。彼がさっさとレジを済ませてスーパーから出ていく後を少し離れて追いかけた。

 彼の出で立ちは、紺のスラックスに、薄い水色の半袖Yシャツ、キャメル色の本皮リュックという普通のサラリーマンスタイルだ。ビジネスバッグでなく、本皮のリュックを背負っているところがちょっとした拘りだろうか。スーパーから徒歩5分ほどのマンションに入っていった。この辺りは、中心部から電車で15分圏の近郊住宅街で、駅周辺には賃貸・分譲マンションがたくさん建っている。10階建てで、各フロアに8~10室くらいありそうな中規模マンションだった。

 少し離れた道路の隅からマンションを見上げていると7階の端から2番めの部屋に明かりが灯った。たぶん、部屋番号までは分かるだろうけれど、郵便受に名字は書かれていないに違いない。

 クラブの先輩に恋心を抱く女子中学生のような行為をしている自分を若干、気持ち悪く感じながら帰途についた。彼が住んでいる場所を知ったからといって、何かが変わる訳ではないし、何か行動を起こそうという訳でもないのだけれども、彼との距離が少しだけ縮まった気がして嬉しいのも事実だった。

 彼がノンケだという確信が持てれば、すっぱり諦めるんだけどなぁ。


2022年9月8日木曜日

独り言

 死ぬほど忙しい訳ではないが、適度に仕事がバタバタしている。

 仕事がバタバタしていると私生活でも何か落ち着かない。

 基本的に独りで居ることが心地よい質ではあるし、ほぼ毎週末に彼と飲食して、どちらかの部屋に泊まる。

 たまに、友人たちと飲みにも行くし、古い友人たちと昔話で盛り上がることもある。

 最近、海外には出かけないけれど、年に幾度かは国内旅行に行きリフレッシュもする。

 けれど、日常は、全くイベントの発生しない同じ時間の繰り返し。

 俺は、それを「ボケボケする」と呼び、「俺の趣味はボケボケ」と公言している。

 何の変哲もない日々の、ゆったりと流れる時間をありのままに過ごす。

 あまり、残り時間が長いとは思えないし、今まで一生懸命、遮二無二、生きてきたとも思わない。

 ただただ、流されるままの人生で、それが自分にとっては心地よいのだと感じている。

 とても充実した人生だった訳では勿論ない。

 だが、十分に自分は幸せだと感じている。

 何かの言葉や出来事が引き金となって、突然に訪れるフラッシュバックで、後悔や羞恥に身悶えるときもあるけれど、それが人生だと自分を鎮める。

 唐突だし、ここを訪れてくれる人には周知のことだが、俺はゲイだ。

 つまり男性同性愛者で、異性とは全く経験がない独身の童貞男だ。

 女になりたいと思わないから、女装することもないし、女言葉を使うことも、ホルモン注射したいとも思わない。

 男である俺が、男に性的興奮を覚えるという自分ではどうしようもない性癖なのだ。

 性癖?癖なのか?

 ゲイであることは俺にとって選択ではない。

 どちらかを選べるのだとしたら、無論、俺はノンケを選んだ。

 選ばせてもらえなかったのだ。

 若い頃は一通り悩みもしたし、どうにかならないかと考えてもみたけれど、明快で美しい答えはなかった。

 たぶん、ほとんどの同類がそうだろうと思うが、世間に自分がゲイであることを主張もしないし、権利を認めて欲しいとも思わない。

 LGBTQと一括りにされるのも御免だし、多種多様な同調圧力も鬱陶しい。

 ただ、これが俺なのだと諦めて、変哲のない日々を過ごすだけ。

 なるべく他人に迷惑をかけないから、放っておいて欲しいと思うだけ。

 俺の趣味はボケボケ。

 そう嘯いて、日々の時間をひたすら浪費し続ける。

 世界や歴史に爪痕を残したいとも思わないし、残せるほどの能力もない。

 後に何も残さず、できれば、海にでも山にでも灰を撒いて欲しいと思う。

 彼が好きだし、たぶん、彼も俺を好きだと思ってくれている。

 適度に友人はいるし、それは老若男女構わず分布する。

 家族や周囲の人間に積極的にカミングアウトせず、分かって欲しいとも思わない。

 たぶん、脳の何処か一部が壊れているのだろう。

 ネジが何本か足りないのだと思う。

 結果、家族にすら愛情を感じない。どうでもいい。

 虐待された訳じゃなさそうだし、自分でも不思議なのだ。

 転じて、唐突だけれど、良い年になっても、忘れた頃に性欲は湧いてくる。

 俺はバリウケで、ほとんどタチをしたことがない。

 若い頃からそうだった訳じゃなく、実はタチもしたかったし、臨んでみたこともある。

 恥ずかしながら、一番の問題は、早漏だということ。

 それこそ、猿のように毎日オナニーに耽っていた中学生の頃の話だ。

 自分の掌でペニスを包み込み、一心に千摺を扱くとき、快感を長引かせようとケツの穴を締め、ペニスの根本を必死で締め付けて我慢した。

 多少は、伸びたけれど、さほどでもない。

 しかし、努力すれば少しずつ伸びた。

 だが、ある日、ペニスの付け根の横に膿袋が出来た。

 子供の頃からよく通っていた皮膚科に行き、診てもらったが原因は特定されず、切開されて痛み止めと抗生物質を処方された。

 薄々原因を感じた。

 それ依頼、我慢しないようにしたら、笑えるほど超早漏になった。

 擦ってはいけないのだ。

 だから、バリウケになるしかない。

 ここでも俺は選択を許されなかったのだ。

 ウケるとき、多くのタチは、腰振りと同時に俺のペニスを擦り、もっと感じさせてやろうと努力してくれる。

 だが、俺は、その手を押し留めるしかない。

 でなければ、もっと腰を振っていたいタチを取り残して、勝手にさっさとイッてしまうのだから。

 バリバリのタチには分からないだろうけれど、ケツの穴は性器ではない。

 あくまでも前立腺が性器代わりなのだ。

 だから、射精してしまって、前立腺が感じなくなってしまったウケは、苦痛を耐えるしかない。

 もちろん、場数を踏んでゆくと、若い頃のように、勝手にイッてしまった俺が、「ごめんもう無理」とは言わない。

 少なくともタチがイクまで、気持ち良かった余韻を長く引き伸ばして、気持ち良い気分を味わう。

 基本的にセックスに淡白な俺は、一度、発射してしまうと賢者タイプに落ち込むのは避けられなかった。

 一発や二発発射したくらいで快感が引くことのない絶倫ウケなら話は別だろうけれど。

 なのに、セーフでだけど、顔も知らない複数の男達に輪姦されることで興奮を覚えるど変態だ。

 まぁその程度の変態は、この世に掃いて捨てるほど居るから、別に自慢にはならないけれど。

 たまに、突っ込まれたいとケツが疼く。

 オナニーすれば、数日は落ち着く。

 だが、何度か、それを繰り返すとオナニーでは満足できなくなる。

 一発すれば、しばらく落ち着いて、欲情することもなくなるのだけれど。

 どうしようもなく疼いて、男が欲しくなるときがある。今でも。

 あぁ。チンポ喰いてぇ。


 だもんで、エロい話を書いて、気を散らすのだ。。。笑

雨のち曇り時々晴れ01

 俺がその男と出会ったのは、週に3度通うスポーツジムだった。

 端正な顔立ちの20代後半くらいの青年で、マッチョでも、緩いでもない丁度良い感じの身体をしていた。いわゆる細マッチョというやつだろうか。一心不乱にトレーニングに励むでもなく、だからといってダラダラしてる訳でもない。ただ、なんとなく雰囲気のある男だった。

 ジムは、自分の肉体を適度に鍛えることが主目的で通っていて、男を漁りに行ってるわけではないが、多少の目の保養になるし、万が一、理想の男に出会えたらなんて助平心がないではない。たまに、明らかに同趣味の方だと分かる御仁もいたが、発展目的ではないから、なるべく目が合わないように心がけていた。

 そういう意味で、その男は、こちらでもありそうだし、違いそうでもあった。ただ、明らかにノンケの男とも違う独特の雰囲気を纏っていたもので、少し興味を惹かれた。もちろん、背格好やその肉体、顔立ち、髪型、立ち居振る舞いなど、どストライクであったのもある。

 ジロジロ視るのも気が引けるし、警戒されるのも宜しくない。同じジムに通っているのなら、また会うこともあるだろうと思った。

 意識するようになると不思議なもので、週に3度通うトレーニング日のうち、1度は見かけるのだと気づく。彼は、柔軟の後、30分ほどランニングで軽く汗を流し、チェストプレス、チェストフライ、ラットプルダウン、レッグプレス、マシンクランチを2セットする。マシンの種類は日によって異なるが、胸筋、背筋、腕筋、脚・殿筋、腹筋をバランス良く2セット。都合1時間ないし1時間半のトレーニングだ。会う曜日が決まっていないところをみると週に何度か通っていて、仕事都合なんかで曜日が変わるのだろうと想像した。

 シャワールームで全裸の彼と出くわしたとき、それとなく筋肉をチェックしたのだが、適度に脂肪がのったバランスの良い肉付きをしていた。胸筋や上腕二頭筋は多少盛り上がり、腹筋も軽く割れている。何より、引き締まった小ぶりの尻から太腿、脹脛、足首のラインがセクシーで堪らないものがあった。

 彼は、人見知りするほど内向的そうではなかったが、一定の距離以内に人を寄せ付けないオーラのようなものを放っている。誰も近づいて来るな!といった強いものではないけれど、話しかけることが憚られる程度には力がある。

 先日、帰りの時間が同じになった折、スマホアプリを起動して確かめてみたが、100m以内にいる仲間は確認できなかった。そうであったとしても同じアプリを使っているとは限らないし、そもそも出会い系のアプリを使っていないことも考えられる。

 下着も普通だし、持ち物や服装もそれらしさを醸し出すグッズも引っかからない。彼は、ノンケなのかもしれないと考え始めていた。


ディープな世界17

 完全に先輩好みに調教されてしまった俺は、先輩の命令に逆らわない従順な下僕になった。先輩がしゃぶれと命令するだけで、前に跪いてイクまでしゃぶり続ける。ご褒美が欲しいから、先輩の命令には逆らわない。

 ただ、あれ以来、先輩は俺に突っ込んではくれない。行為の最中はもちろんのこと、自宅に帰った後も自分で出すことは禁じられていた。若いやりたい盛りの雄がオナニーすらできないのである。数時間で玉がパンパンになるほど、子種を作り続ける年頃なのにだ。

 結果、俺はほぼ終日、勃起した状態で、先輩のモノをしゃぶっているだけで果ててしまいそうになる。意識だけでイッてしまいそうになるくらい興奮状態で、大量に滲み出る先走りが若干、白く濁っているように感じた。もう限界に達しつつあったある日、ジムの練習後に先輩と一緒に先輩の自宅に帰ることになった。

 俺は全裸で先輩家のベッドに四肢を縛り付けられている。目隠し、耳栓、ボールギャグ、そして、チンポは根本できつく縛れた状態で放置されている。五感のほとんどの感覚を遮断されて、マンコに、エネマグラを仕込まれていている。

 手を使うことはもちろん、シーツに擦り付けることすら出来ない状態だ。唯一の刺激は、前立腺のみ。想像の中で、先輩はベッドの横に静かに座って俺を眺めている。外界から一切の刺激を遮断され、自分の中の柔らかい部分にだけ緩やかな圧を感じて身悶え、発情しきりの雄をじっと眺めている。俺の呼吸は少しずつ早くなり、上気し、全身が汗で濡れて艷やかに光っているはずだ。根本をきつく縛られているにも関わらず、先走りが滲み出して腹筋の溝に溜まりをつくる。先輩に教えられた通り、マンコの括約筋を締めると前立腺が押し込まれ、微妙な快感を感じる。少しして緩めた後、また締めると、先程の快感より少しだけ感度が増す。その行為を何度も繰り返すたびに、それはどんどん蓄積されてはっきりとした快感へと変わってゆく。

 肌で先輩の視線や呼吸を感じながら、下腹部に鈍痛にも似た快感の塊が存在感を増してゆく。昂ぶってゆく。

「あぁぁ来る。。。あれが来る。。。」

 ボールギャグを噛まされているから声になっていないはずだし、耳栓をされているので、どんな音が漏れているのか知ることもできない。たぶん、ゴボゴボと濡れた意味をなさない音が漏れているに過ぎないのだ。

 溜まりに溜まった子種が出口を求めて内圧を増しているのだが、出口はない。括約筋をギュッと締めることでエネマグラが前立腺に刺激を伝達する。それが最後の刺激になった。大腿筋と大殿筋、腹筋が収縮し、あれが始まる。強烈な快感が下腹部の奥と脳内で同時に炸裂し、俺は唸り声を上げる。一度、始まってしまうと少しの刺激でそれは繰り返す。眼球の中でエキセントリックな光がスパークする。

 俺はもう何も考えられない。時間間隔も五感の刺激も、自分の形も分からなくなる。ただ、そこにあるのは強烈な快感の塊だけだった。強烈な快感が何度も俺の中をぐちゃぐちゃにして、筋肉の緊張に耐えきれなくなって脱力するのを繰り返す。雌イキと称される強烈な快感は、肉体を揺すぶられる感覚で、意識せずおめき超えが漏れる。

 放置プレイで、一人遊びの無限雌イキ地獄。いや雌イキ天国。すっかり調教されてしまった俺は、先輩の視線を勝手に感じてイキまくる変態に堕ちた。